エンカレッジ第1回面談フィードバック

以下はエンカレッジのメンターさんと初めて行った面談後のフィードバックです。

このフィードバックはわたし自身へのものですが、他の人にも参考になる部分があると思い、掲載させていただきます。

11/9(木)実施 第一回面談

(1)第一回面談を終えて

面談中に何度も話が出てきたけど、○○さんは「何か目標を立て、そこから逆算して戦略を立て、そしてそれを確実に実行していく」力が非常に高い印象を抱きました。中学・高校と○○部に所属していた経験がやはり大きいようですね。「試合で結果は出しても上には上がいることにやるせなさは少し感じるものの、やるべきことはやったから後悔していない。」と言っていました。ただこの言葉が出てくるのは、1日ごとに目標を立て達成していくにつれて徐々に目標の基準を高めていき、常にその目標に全力で立ち向かっていったからではないでしょうか。その努力の過程でうまくいかなくなったら、しっかりと立ち止まって自分を分析し、手段を模索していき、その時々でやれるべきことを尽くしてきた。だからこそ後悔しなかったのでしょうね。

その姿勢は大学でのサークル活動でも伺うことができます。webメディアを行う時もフォロワーを集めることを大目標に。そして小目標としてどうしたら増やせるか?どうすればたくさん読んでもらえるか?分析を通じてブームやトレンドを察知してそれに見合った記事を書くように編集長に提案したり、自身で記事を書いたり、関連記事をどんどん読んでもらうための工夫を凝らすなど、戦略を構築して実行していく。そしてそれが達成できた時の爽快感が好きだと言っていました。この目標達成力・戦略構築力を持つ学生はどの企業からも欲しがられます。自信を持って長所と言っていい、○○さんの魅力でしょう。そして今はマスコミしか見ていないようですが、○○さんの場合は他の企業を見てみるべきだと思います。目標を達成した時に爽快感を得られたと言っていましたが、もしかしたら目標に向かって分析し、戦略を作って、実行していく過程自体も好きだったのかもしれません。

こうしたスキル・実行力はどの企業でも求められます。なのでなるべく多くの企業を見てみて、一番それができる・やりたいと思える会社を探してみるのがいいと思います。

また、フォロワー数のような、自分が頑張った成果が分かりやすい形で見える方が頑張れるタイプのようですから、複数の企業で・長期間で・ゆっくりプロジェクトが進行していくような仕事や、何のために仕事をしているのか目標が設定しにくい・分かりにくい仕事はあまり好きではないようです。ただ、部活で肩を壊した際に団体専門の選手にシフトして頑張れたように、どの環境に身をおいたとしてもご自身で目標を設定し、全力で立ち向かっていくマインドを持っているように思います。たとえ集団で結果が出なかったとしても、個人として成果を出せていれば特に気にしない印象を受けました。なので組織が大きすぎて仕事にやりがいを持てない・仕事の進行が遅いなどといった「大企業アレルギー」への耐性はありそうですのようなので実際に社員の人にどんどん会って話を聞き、大企業でもそうした仕事ができる環境に身をおけるか確認するのがいいかと思います。

また「ミクロな視点よりかは、マクロな視点を好む」傾向があるようですね。例えば教育。目の前の生徒のためになにをすべきか考えることにあまり興味はないものの、教育の在り方・変容などにはかなり関心があると言っていました。またメーカーを勧めてみた時に「やれることの幅の狭さを感じる」と言っていました。学部選びやサークルを選んだ理由も色んな人に出会ったり、経験をしたいと思ったからだと言っていました。そこからもボーダレスに仕事をすることが好きなように思えます。一つの企業に属して尽くすよりかは、企業と企業でタッグを組ませたり掛け合わせたりして、何か新しいものを作ることに興味があり、その過程であらゆる業界・人と関わっていきたいようですね。それはたしかに広告・新聞社でもできることだと思いますが、他の業界でもできることではあります。特に最後に話した商社はBtoBの業態で間を取り持つ仲介業者です。競合他社のようなものがなく、企業と企業のいい所をかけ合わせたりして新たなビジネスを生み出したりしています。例えば食品商社の国分は江崎グリコとアマゾンに対してこんな商品開発を提案しています。http://www.sankeibiz.jp/business/news/171004/bsd1710040500005-n1.htm

他にも会社を買収して子会社化し、子会社を連携させることで新たなビジネスを生み出したりしています。これができるのは卸という形で色んな会社とコネクション・信頼がある商社だからできる仕事です。なので広告以外の業界でまずお勧めするのは商社だと思います。

 

(2)次回までの宿題

①今回の面談で見つけたご自身の強みが活かせて、やりたいことができる会社を見つける

→広告や新聞社でもいいですが、まずは人に会って話を聞いてみましょう。OB訪問でも企業セミナーでも何でもいいと思います。とにかく気になる業界・行きたい業界の人の話を聞くこと。この際に「自分の活かしていきたい強みが御社のどこで活かせるか」を聞くことをお勧めします。それを聞いた時の社員の方の反応を見てください。社員によって反応は多少異なりますが、いい反応・悪い反応の二手に分かれるでしょう。いい反応をする社員の多い会社は○○さんの適性に合い、なおかつ向こうが求めている人材です。なのでマッチングが期待できるでしょう。個人的には商社の方にお話を聞くのがいいかと思います。恐らくいい反応が得られるはずです。困ったらいつでも聞いてください。

 

②以下の質問を二回目の面談で行います。考えてきてください。

・後輩に追われていた時の焦燥感はどんなものだったのか?そこについて深堀して考えてきてください。いくつか質問させていただきます。

・サークルに入った時、CMやwebメディア以外の分野だったとしても頑張れたと思いますか?

ジェンダーに興味があったのはどうしてですか?

・フォロワーを2700人にするまでに色んな困難があったと思います。それはどんなもので・どう克服してきたんですか?

・大企業に入ると仕事が細分化されて何のためにやってるのか見えにくくなったり、集団で 仕事をするために進行が遅くなりがちです。個人にとっての裁量権も若手のうちはそれほど渡されないかもしれません。それに対してどう感じると思いますか?今までのエピソードも交えて教えてください。

・他人に決められた目標に対して熱中することはできると思いますか?

・○○さんはどんな社会人になりたいですか?年収はこれくらいで~、休みもこれ位取れて~・・・とかのレベルでいいので教えてください。

・サークルでの活動・長期インターンでの活動において一番大変だった・苦しかった経験 は何ですか?

それではFBは以上です!お疲れさまでした(^^)


このフィードバック、ものすごく自己分析に役に立ちます。

ESとかめちゃめちゃ書きやすくなります!

メンターさん、面談ありがとうございました!次回も宜しくお願い致します。

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銀のアンカー 第1巻 名言まとめ

『銀のアンカー』就活生の皆さんなら、ご存知ですよね? 表紙に書いてあるコピー通り「内定請負漫画!!」です!

就活生で、まだ読んでない人がいたら、ぜひ読んでみることをおすすめします! すごい参考になるので(笑)

詳しいストーリーは、実際に漫画を読んでからのお楽しみということで、 ここでは銀のアンカーの名言だけを集めて、まとめておきたいと思います。

就活中に気持ちが緩んできたときは、この記事を見て気合を入れましょう!

それでは、いきましょう


「受けたいところを躊躇せず受けに行く積極性を持て!!」

 

「思ったら即行動。走りながら考えろ!!」

 

「人の印象には言語的アピール非言語的アピールの2つがあることを知れ!!」

 

「迷ったら金で選べ!初任給ではなく生涯賃金を見ろ!!」

 

画像クリックでamazonの購入ページにとべます。

【企業研究】朝日新聞社(ビジネス部門)

記念すべき企業研究第一弾は朝日新聞社です!!

なぜかというと、わたしは朝日新聞社の夏のインターンシップ(記者部門ではなくビジネス部門)に参加したからです!

なので、今回の記事は企業研究というより、インターンシップレポート?みたいな感じになっちゃうかもですがご了承ください。(でも守秘義務があるから詳細には書けない……)

インターンに参加する前は、 「新聞社か~、んー斜陽産業だよな~」とか思っていたのですが、参加してからすっかり新聞業界に惹かれてしまいました!

新聞社は職種のデパートと言われるほど、たくさんのシゴトがあるので、みなさんのやりたいことが新聞社で出来る可能性も高いです。現時点で新聞社に興味がない人も、ぜひ読んでみてください。


基本情報

創刊 1879年(明治12年

従業員 4539人

売上高 単体2748億円、連結4200億円

平均年齢 44.3歳

平均勤続年数 20.2年

初任給 大卒/月給 272,188円

勤務時間 1日8時間拘束で実働7時間


インターンシップのES・面接について

簡単にインターンシップのESと面接でどんなことを聞かれたか書いておきます。

わたしが参加したのは、2017年9月12日~15日に行われた夏期ビジネス部門研修です。

ESの設問内容

朝日新聞社インターンに応募した動機 ・自己PR ・今まで1番辛かったこと。またそこから何を学び、何を得たか。 ・最近のニュース、新聞記事で興味を持ったものは何か。その理由も。

面接

・基本的にはESの深堀り ・数ある新聞社の中で、なぜ朝日を選んだのか。 ・若い人たちに新聞を読んでもらうためには、どうすれば良いと思うか。


ビジネス部門

朝日新聞社のビジネス部門は、販売・メディアビジネス(広告)・企画事業・デジタル事業・管理財務で構成されています。4日間のインターンで、これらを1つずつ体験させてもらったので、紹介と感想を書いていきます。※管理財務は割愛。

販売局

販売局のミッションは、販売店(ASA)と連携し、担当エリアの新聞購読者を増やすことです。

販売局の特徴は、若いうちからエリア担当を任され、エリア内の戦略立案や予算組みなど、あらゆる権限と責任を担う、ということです。(イメージとしては販売店の経営コンサル)

インターンで知るまで、販売局のシゴトについて詳しく知らなかったのですが、実際に話を聞いてとても魅力を感じました。新聞業界は非常に厳しい状況ですが、現在も新聞購読料が売上の6割を占めています。新聞の価値をどのように伝えるかをつねに考え、業界の変革のために様々な取り組みを行っています。

デジタル本部

朝日新聞デジタル」の企画、営業、開発。「with news」や「バーチャル高校野球」など、様々なメディア媒体への展開や国際発信をしています。

朝日新聞社の強みである「取材力」「100年分のアイカーブ」を活かした事業をしています。

ウェブメディアを運用する上で一番大事な、記事を書くっていう作業のプロ(記者)がめっちゃいるって強いよなあ、って思いました。

ディアビジネス局

紙メディアを中心とした広告営業を広告主や広告会社へ行います。

新聞社にしかできないこと、朝日新聞社ならではの提案をしています。

つい最近は、世界三大広告賞の一つであるカンヌライオンズにも参加したそうです。な朝日新聞内にクリエーター集団もしっかりいます!

企画事業本部

ボストン美術館の至宝展」「新海誠展」などの文化催事を手掛けます。イベント企画や運営をする部門。企画立案から実施の諸手続き、収支管理、宣伝・広報、グッズ制作、当日運営までプロデューサーとなって活躍します。

企画事業本部は、3つに分かれていて

文化事業部・・・展覧会などの実物報道。(年間35~40件)

事業開発部・・・スポーツクラブ、住宅展示場、通販など

企画推進部・・・舞台、音楽コンサートなど

というように、あらゆる企画事業を行っています。

新聞社の資産を使って企画事業ができるの、すごい魅力的だなあと思いました。Twitterの中の人として、奮闘した社員のお話が面白かったです。


今後にむけて

社員さんからのアドバイス

・他の新聞社についてもよく見ておくこと。なぜ朝日なのか、を言えるようにする。

・OB訪問は積極的にした方がいい。

これからすること

・朝日以外の新聞社も見てみる。

・新聞は毎日、目を通す。(インターン中毎日、朝刊の気になった記事とその理由を書かされた。)

エンカレッジ、すごすぎて感動。

エンカレッジというキャリア支援団体をご存じですか?

就活が本格化するにあたって、このまま1人で就活をすることに不安になり、エンカレッジさんに相談してみることにしました!

まずはざっと、エンカレッジの説明を読んでみてください。

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わたしも最初はこの紹介を読んで、

「大学生にアドバイスしてもらうのか~不安だな~」

「お金がかかったり、イベント参加とか強制されたら嫌だな~」

とか思っていました。

でも、いざ実際に担当の先輩に会ってお話を聞くと、そんな不安は吹っ飛びました!

むしろ疑っててめんなさい!!って感じです。

何がすごいって、メンターの先輩がめちゃめちゃすごい

とても有意義な面談をしてくれた後に、ものすごい量のフィードバックをしてくれるんです!

第1回目の面談後にはワード3ページ分のフィードバックを送っていただきました。こんな丁寧に私のこと考えてくれる人いるの????って嬉しくって。

感動しすぎて、こうやってブログで宣伝してます(笑)

これから面談の度にブログを更新していこうと思うので、よかったら参考にしてみてください。

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これからの出版業界について~紙書籍と電子書籍~

※この文章は早稲田大学文化構想学部「出版文化論」という講義で提出したものです。

 わたしは昔から本が好きで、時間ができたときに本屋でのんびり過ごすのが好きだ。本を読むこと自体がおもしろいのはもちろんだが、本の装丁を眺めたり、気に入った本を手に取りページをめくったりしているだけでわくわくする。ところが近年、本屋の減少が止まらない。2005年の17,839店から10年後の2015年には13,488店と4351店も減少している。わたし自身、池袋のリブロ本店の閉店を聞いたときは衝撃を受け、出版業界はかなり厳しい状況なのだろうな、と思わずにはいられなかった。出版業界の不況についての話題になったとき、必ず挙がるのが電子書籍の存在だ。今から10年後の出版業界について考える上でも、電子書籍がもたらす影響を無視することはできない。これから10年間で紙書籍と電子書籍がどのように存在していくのか、わたしなりに考察していく。

 前述のように、わたしは本の装丁やさわり心地が好きだ。だから今まで電子書籍についてはあまり関心がなかった。まだ利用したこともない。しかし最近、電子書籍に関する情報に触れる機会が増え、徐々に興味を持ち始めた。わたしが考える電子書籍のメリットは、

  1. 読みたいと思った時に購入し読み始めることができる点
  2. たくさんの本を持ち歩ける点

だと思う。紙の本は読みたい本ができても書店に足を運んだり、ネットで注文して家に届くまで時間がかかる。またわたしは基本的に何冊かの本を同時並行で読むのだが、そういう場合も電子書籍なら端末1つを持つだけで済む。この2点はわたしにとって大きな魅力である。では、なぜわたしは電子書籍を使わないのか。それは紙書籍の魅力のほうが私を惹きつけるからだ。わたしを惹きつける紙書籍の魅力とは、

  1. 実際に所有し、自分のモノにできる点
  2. 長く(永遠に)存在することができる点

である。電子書籍を購入しただけでは、本当の意味で所有しているとは言えない。自分が本当に好きな本は自分のモノとして所有しておきたい。また紙書籍は電子書籍と比べてはるかに寿命が長い。落としても水にぬれても読めなくなることはない。紙の魅力それだけ?と思うかもしれないがこの2つこそが多くのひとが今も紙書籍を買う理由だと思う。この紙書籍の魅力、価値はこれから先どんなに電子書籍が進歩しても絶対に超えることができないから、紙書籍はこれから先ずっとなくならない。

 わたしはこれから先、紙書籍は前述した2つの魅力を強めていき、今よりも価値のあるものとして存在するようになるのではないかと思う。電子書籍は誰でも気軽に出版できるため、今より全体的な質が下がるということがしばしば指摘される。その中で、優れた作品だけが紙書籍として出版されるようになっていくことで、紙書籍化されることがステータスになっていく。そうすることで、電子書籍は充実し、紙書籍は価値のあるものとなるので、未来の出版業界は今よりも盛り上がっているかもしれない。

1954年『ゴジラ』は太平洋戦争に対する 日本人の歴史認識を形成した。

※この文章は早稲田大学文化構想学部社会構築論系の講義の課題として提出されたものです。

1.はじめに

はじめて『ゴジラ』を鑑賞したとき、わたしはこの映画は反核を訴えている、と思った。しかし授業を通して、さまざまな視点から『ゴジラ』を読み解いていくうちに、『ゴジラ』は反核を訴えているだけの映画ではない、と思うようになった。わたしが授業で学んだことはたくさんあるが、その中でも特に印象に残ったことは、歴史や歴史認識についてのことである。歴史とは、それぞれの記憶が調整されたもので、選ばれたり切り捨てられたりして忘却されていったものであるということである。わたしはこのことを特に意識して『ゴジラ』を読み解いていくことにした。そして今回のテーマ「『ゴジラ』は太平洋戦争に対する日本人の歴史認識を形成した。」に至った。『ゴジラ』が公開された当時の時代背景や、日米の太平洋戦争に対する認識などに触れながら考察していく。

2.時代背景

1945年 終戦
1951年 サンフランシスコ講和条約日米安全保障条約調印
1952年 占領終了 (1945年~1952年にGHQによる検閲がされていた)
1954年3月1日 第五福竜丸事件
1954年11月3日 ゴジラ』公開

ゴジラ』の公開は、終戦から10年目で日本国民の大多数は戦争の経験や記憶を持っていたと考えられる。しかし、『ゴジラ』公開の2年前まで日本は連合国軍に占領されていたという時代背景があり、わたしはこの点に注目した。占領期は、いわゆるプレスコードにより新聞や手紙、電話などが検閲され、反占領軍的な内容は弾圧されていた。このような検閲体制のなか、日本人が太平洋戦争について語ることは、困難であったといえる。つまり、『ゴジラ』公開前の日本では、太平洋戦争に対する個の記憶が調整されておらず、太平洋戦争に対するはっきりとした歴史認識が出来ていなかったのではないだろうか。

さらに『ゴジラ』公開の8か月前には、第五福竜丸事件が発生した。この事件は日本人に広島・長崎を思いおこさせ、戦争の記憶を蘇らせた。そして今後、日本が核と、どのように向き合っていくべきかを考えさせる契機となった。

そんな時代背景のなか『ゴジラ』は公開された。このように太平洋戦争における個の記憶が調整されておらず、しかし国として戦争や核に向き合わなければいけない時代背景のなかで、日本人は『ゴジラ』を太平洋戦争や第五福竜丸事件に重ね合わせ、自分のなかの歴史認識を確立していった。そしてそれぞれの歴史認識がやがて、日本の歴史となっていったのではないだろうか。事実、『ゴジラ』は当時、日本人の10人に1人が見ていたのである。『ゴジラ』が日本の歴史認識の形成に与えた影響は計り知れない。

3.太平洋戦争に対する日米の認識と『ゴジラ

太平洋戦争に対する日米の認識と、『ゴジラ』が与えた影響はどのようなものだろうか。米調査機関Pew Research Centerが2015年4月に発表した調査結果「Americans, Japanese: Mutual Respect 70 Years After the End of WWII」から、太平洋戦争に対する両国民の認識を見ていきつつ、『ゴジラ』の表象を考察する。

太平洋戦争において、重要な事案として日本の戦争責任が挙げられる。日本人の48%が謝罪は十分とし、15%は謝罪の必要はないと回答。つまり日本の63%が、太平洋戦争について、これ以上謝罪する必要がないと考えている。アメリカも61%が、日本はこれ以上謝罪する必要がないと考えている。

この結果から言えることは、「日本が戦時中してきた負の出来事は、歴史から排除されている。」ということである。このことは、授業で学んだ日米のミクロネシアとの関係を考えれば明らかである。

ゴジラ』での表象を、歴史の包摂/排除といった視点からみていくと、全体を通して、日本がゴジラ(アメリカ)の被害者として強調され描かれていることに注目する必要がある。アメリカの水爆実験によって誕生したゴジラが、アメリカではなく、なぜか日本を襲撃することで、日本はゴジラの完全な被害者として描かれ、同時に太平洋戦争の被害者という認識を正当化することにつながった。また平和の祈りの歌のシーンや病院のシーンなども、戦争の被害者という認識を強くさせたと言える。

もし、日本が行ったミクロネシアでの出来事を排除せずに『ゴジラ』を製作するとどのようになるだろうか。ゴジラミクロネシアに人々とともに共存していたが、水爆実験や日本統治により、住む場所を奪われ、ともに暮らしてきたミクロネシアの人々も放射能や日本統治によって苦しんでいる、その復讐をするためにゴジラは日本やアメリカに行くというストーリーになるのではないだろうか。ゴジラが日本を襲ったのは偶然ではなく必然とも言え、被害者意識ではなく、戦争に対する加害者意識が生まれ、現在と異なる歴史認識につながったのではないだろうか。

一方で、『ゴジラ』で日本の加害者意識が全く表象されていないわけではない。芹沢博士の存在である。芹沢博士が、オキシジェンデストロイヤーの使用に関して葛藤する姿は、自分が被害者から加害者へと反転してしまうことへの葛藤ということもできる。最終的に芹沢が、オキシジェンデストロイヤーを使用することで、芹沢だけでなく恵美子や尾形をはじめとする登場人物全員が加害者となった。この時点で、本来ならばゴジラと芹沢をはじめとする登場人物は被害/加害の点で、同等になったはずである。ところが、エンディングのナレーションは「若い世紀の科学者がゴジラに勝ったのです!」と言っている。この言葉は、加害を都合よく解釈していると受け取ることができる。

5.まとめ

以上のことから導きだされる太平洋戦争に対する日本の認識と、『ゴジラ』の表象に共通することは、「被害者の側面を強調し、加害者の側面をなかったことにした」ということである。つまり『ゴジラ』は太平洋戦争について、日本は東京大空襲や原爆を落とされた戦争被害者であり、あのトラウマを忘れてはいけない、といった歴史認識を形成したのである。

日本は戦争加害者としての認識が足りない、という批判は現在も世界の国々から言われていることであるが、戦争被害者としての認識が広まるきっかけとなったのが、この『ゴジラ』だったのではないだろうか。

歴史とは、それぞれの記憶が調整されたもので、選ばれたり切り捨てられたりして忘却されていったものであるが、日本人の太平洋戦争についての認識も、まさにそれであった。歴史を完全に知ることは困難だが、少しでも深く知るために、様々な立場に立って、色々な視点から物事を見ていくことが大切である。

6.参考文献

Pew Research Center (2015) 『Americans, Japanese: Mutual Respect 70 Years After the End of WWII』http://www.pewglobal.org/2015/04/07/americans-japanese-mutual-respect-70-years-after-the-end-of-wwii/

2010年代の開発主義と民主主義について ―シンガポールの事例から―

※この文章は早稲田大学社会科学部の国際開発制度論という講義の課題として提出したものです。

1.はじめに

 講義では、グローバル化の行方と、それを背景とした途上国の開発と政治をめぐるガバナンスの重層性の問題について扱ってきた。それらの学びを踏まえ、ここでは2010年代の開発主義と民主主義について、シンガポールに焦点をあてて考察していく。シンガポールは、現在1人あたりのGDPで日本を抜きアジアで最も豊かな国とされる。そんなシンガポールは、開発主義の中でどのように発展し、どのような政治システムにおかれているのかを考察することで、シンガポールの今後の展望について考えていく。

 

2.開発主義と民主主義

  2010年代の開発主義と民主主義について考える際に重要となる用語は、「開発主義」と「民主主義」である。「開発主義」は、確定された定義が存在せず、文脈によって異なる使い方がされる場合がある。本稿での定義を整理しておく。

 開発主義とは、「個人や家族あるいは地域社会ではなく、国家や民族の利害を最優先させ、国の特定目標、具体的には工業化を通じた経済成長による国力の強化を実現するために、物的人的資源の集中的動員と管理を行う方法」(末廣、1998、p.18)である。

 開発主義を掲げる国家は、行き過ぎると開発独裁へとつながってしまう。開発独裁とは、上記で述べた開発主義を推し進めるために、それに反対する勢力を抑圧する政治の在り方である。典型例として、フィリピンのマルコス政権やタイのサリット政権、インドネシアスハルト政権、シンガポールリー・クアンユー政権など、特に東南アジアを中心に開発独裁が正当化されていた。

 しかし1970年代以降、多くの国で「開発主義」から「民主主義」への移行が進められている。その要因として考えられるのは、開発至上主義がもたらした弊害に対する反動、開発の推進によって誕生した中流階層が次第に民主的な政治を求めるようになったこと、NGOといった市民団体の活用が進められたこと、ソーシャルメディアの発達等を挙げることができる。

 

3.シンガポールの経済政策

 1960年代のシンガポールの失業率は10%前後で、雇用の創出は最優先課題であった。またシンガポール都市国家であり資源が乏しく、生き残る道は経済発展のみであった。1961年に経済開発庁(EDB:Economic Development Board)を設立した。1965年にマレーシアから独立し、原材料供給地と市場を失ったシンガポールは、外国投資を呼び込み、経済活性化を図る政策を推進した。海外投資家にとって、魅力的な投資対象地域であることを明確に打ち出す政策となっている。

 経済発展の土台を作るため、政府は空港や電力、工業用地や通信網といった産業インフラを整備した。また、「クリーン&グリーン・シティ」を目標に緑あふれる都市づくりを実現した。シンガポールは、多様な民族で構成されるため、民族融和策の一環として、英語による学校教育を原則とした。国民が英語を習得することで、シンガポールが世界を相手にビジネスをすることを可能にした。

 さらにシンガポールには、外国企業の誘致や産業振興のために多くの優遇税制が存在する。例えば、シンガポール法人税は17%で、日本の40%などと比較してもかなり低い水準であることが分かる。

 

4.幸福度ランキング最下位の国、シンガポール

  シンガポールは、1人あたりの国内総生産はアジア最高で、国際競争力はスイスに次ぐ世界2位。世界での存在感も大きい。これほど裕福な国であれば国民の幸福感も高いように思われる。しかし米ギャラップ社の2012年の調査で、シンガポール人の幸福度は148カ国中なんと最下位なのだ。なぜこのような結果になるのだろうか。この答えは、民主主義の観点から考察することで浮かび上がってくる。

 

4-1.言論・報道制限

 シンガポールの主な国内メディアは政府の影響の強い企業の傘下にある。そのため政権批判や政権の内部情報はほとんど報じられない。実際に、シンガポール建国の父であるリー・クアンユー氏批判を行った欧米メディアが、たびたび名誉棄損や高額賠償を求められるという出来事も起こっている。

 

4-2.リー・クアンユー氏率いる人民行動党の独裁体制

 シンガポールは建国以来、人民行動党一党独裁体制が続いている。政府批判をしたら国外退去、デモは一切禁止で、国民の政治関与がほぼ禁じられている。

 また、シンガポールには厳しい死刑制度が存在する。特に麻薬関連に厳しく、例えばコカイン30グラム以上の所持で死刑となる。男性同士の同性愛は犯罪で、2年の服役とむち打ちの刑に処せられる。

 

4-3. リー・クアンユー氏死去後の政治体制

 一党支配に募る不満や、リー・クアンユー氏死去の影響で、野党がどこまで躍進できるか注目された2015年9月のシンガポール総選挙。しかしふたを開けてみると、与党(PAP)の圧勝。野党は逆に議席を減らす結果となった。リー氏の死後は、独裁体制が和らぎ、少しずつ自由に近づくかと思われたが、単純な問題ではないようだ。今後シンガポールは、どのような道を歩んでいくのだろうか。

 

5.シンガポールの今後の展望

 急激な高度経済成長をし、世界に確固たる地位を確立したシンガポール経済であるが、ここのところ、企業のコスト高や、一党独裁体制による抑圧への不満、物価高、外国人労働者への不満、少子高齢化など、問題が山積している。さらにシンガポール発展途上国から先進国へ成長させたリー・クアンユー氏の死去も重なり、カリスマ指導者がいないシンガポールの未来はどうなっていくのだろうか。

 シンガポールは最も成功したと言われる開発主義、開発独裁の国である。経済成長という観点から見ればそれは確かに成功だが、一方で民主主義の観点から考察すると、シンガポールは民主主義国ではなく限りなく社会主義国に近いと言える。経済発展が一通り完了し、先進国ならではの新たな課題を抱えるようになった現在のシンガポール。これからのシンガポールに必要なことは、開発主義・社会主義的体制から脱却し、真の民主主義体制に移行することではないだろうか。開発主義と民主主義は共存することができない。シンガポールがこれから先生き残るためには、国民が今まで押さえつけられていた想像力を働かせることが必要である。メイドインシンガポールシンガポールバリューを発揮できるようになれば、今後もシンガポールは発展していくことができるだろう。もしこのまま開発主義に頼り続ければ、他の途上国が脅威となり、シンガポールの未来は明るくないだろう。

 

6.参考文献

末廣昭(1998)「発展途上国の開発主義」、『20 世紀システム4開発主義』

鶴見良行(1995)『東南アジアを知る』

野嶋剛(2015、4月27日)「経済成長と愚民観統治 シンガポール建国の父、リー・クアンユーの語られぬ素顔」『AERA